こだかみ茶 REBORN

「(株)ふるさと夢公社きのもと」は、こだかみ茶の再生を応援しています!

「こだかみ茶」が生まれたのは、今から1200年前。平安時代、僧最澄(伝教大師)が「薬の木の実」として遣唐使で中国へ渡たられ、唐から持ち帰った(805年)茶の実を、比叡山延暦寺で天台宗を開いた麓と、799年に当地己高山(海抜923m)を訪れ、山上にあった僧行基の東光山常楽寺跡を発見し、整備再興に尽くされ、帰国後、天台宗鶏足寺と改め、さらに麓の別院(法華寺・飯福寺・石道寺・高尾寺・安楽寺)の周辺にまかれたのがお茶のはじまりだと言い伝えられています。そして、己高山では多くの僧が修行のため往来されるに合わせ、森林の中でも育てられ、一方、病に苦しむ村人たちには薬としてあたえられたようです。やがて、お茶は郷や近隣の地域に広がり、人々の暮らしに欠かせられないものとなりました。

秀吉も愛したこだかみ茶

古橋には「こだかみ茶」のルーツとともに、もうひとつお茶にまつわる伝承が残されています。それが三献の茶の逸話です。戦国時代、長浜城主であった羽柴秀吉(豊臣秀吉)が鶏足寺の筆頭別院であった法華寺三珠院(長浜市木之本町古橋)に立ち寄った際、寺小姓をしていた佐吉(のちの石田三成)から差し出された三杯のお茶に感銘を受け、佐吉を家来に召抱えたという逸話は、思いやりの心とともに、連綿と受け継がれてきました。現在、法華寺は廃寺となっていますが、寺跡には今もなお、たくさんのお茶の木が自生しています。

【集落に伝わる三献の茶の逸話】

「鷹狩りの帰りに法華寺に立ち寄った秀吉は寺の小姓にお茶を所望した。この時、寺の小姓をつとめていたのが佐吉少年(のちの石田三成)だった。佐吉は、一杯目は大きな茶碗にぬるいお茶をなみなみと、二杯目は先ほどよりも少し熱いお茶を茶碗に半分ほど、三杯目は小さな茶碗に熱いお茶を入れて差し出した。秀吉はこの心遣いにいたく感じ入り、佐吉を家来として召抱えた。」

【法華寺】

古橋村民家より八町許奥の山にあり。寺中六箇寺あり。真言宗。石田治部少輔三成幼少の時、手跡を此寺の三珠院に習ふといふ故にや寺中に三成の墓あり(※三成の墓とあるのは三成の母の墓の誤りと考えられる)

(『近江興地志略』(享保19年(1734)寒川辰清より)

亀山茶畑のはじまり

昭和28年頃の亀山

亀山茶畑は己高山麓の集落・古橋から鶏足寺(旧飯福寺)へ向かう途中にある亀の甲羅のような形状の茶畑です。昭和24年、当時、村長であった鶏足寺の住職が、地域振興のためにと所有地(亀山)を提供されたことが機となり、本格的なお茶の栽培が始まりました。

翌年、試作として県推奨品種のお茶の苗木が植えられましたが、積雪に耐えきれず全滅。それならば、この土地の気象条件や土地にふさわしい在来種のお茶を栽培しようということになり、集落に自生している「こだかみ茶」を実生から育てることになりました。

この時、お茶の実拾いに活躍したのが地元の子どもたちです。昭和26年、村は子どもたちが集めた4000ℓのお茶の実を村費で買い取り、農協に依頼して子ども名義の口座を作りました。茶の実を集める活動はこれをきっかけに、子どもたちが毎月貯金をするという「子ども貯金」のシステムが長く続いたそうです。

昭和27年春、地域の人たちの手によって開墾された亀山2.5haの土地に、子どもたちが集めた「こだかみ茶」の実が播かれました。この時、用いられたのが等高線栽培方法です。等高線栽培方法というのは、等高線に沿って水平に段を作り、作物を栽培する方法。「茶はまっすぐに根を伸ばす。成長すれば山が崩れることはない」専門的手法の情報のもとに、約2メートル間隔で階段状に土地を耕し、現在につながる等高線模様の美しい亀山茶畑が誕生しました。

合わせて、同年、地元農業協同組合に製茶工場が完成、「こだかみ茶」の生産量は増加し、その名は県内外にまで広く知れ渡るようになりました。

もう一度亀山茶畑を

しかしながら、時代の変化とともにお茶産業は衰、平成中期には茶畑の荒廃が目立つようになりました。

「古い歴史と文化、そして地域の人たちの結(ユイ)によって育まれてきた「こだかみ茶」をよみがえらせたい!もう一度、あの頃のような緑の等高線の景観を再生したい!」の願いから平成28年(2016)、(株)ふるさと夢公社きのもとの「亀山茶畑再生整備活動」が始まりました。

背丈まで伸びた雑草を取り除き、余分な枝を剪定、不要な木を伐採するなどの手を加え、茶畑の景観整備を行いました。また、古くから大切にされてきた希少在来種「こだかみ茶」とその景観を守るため、かつてと同じ等高線栽培方法を用い「こだかみ茶」を実生から丁寧に無農薬栽培で育てています。

整備後初めての茶摘みイベントを開催

整備された茶畑

平成29年5月には、整備後初めての茶摘みイベントを開催。地区内外から足を運んでくださった300名以上の協力者とともに手摘みや昔ながらの手もみ製茶体験を行い、亀山茶畑に明るい声が響き渡りました。

「(株)ふるさと夢公社きのもと」は、

⑴自然豊かな里山、田園空間の形成を図る。

⑵茶の歴史を受け継ぐ産地として「こだかみ茶」の事業化を行う。

⑶地域の活性化と雇用の創出を目指す。

ことを目的に、今後も地域とともに歩んでいきたいと考えています。

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